GUIN SAGA - グイン・サーガ

SPECIAL

お礼のメッセージ

みなさま、たくさんの心のこもったお手紙をありがとうございました。

10代の頃から読み続けてこられたという方からのメッセージを拝見していると、当時は現場で編集をしていた私自身のことが思い出されます。
当初は20巻くらいの企画としてスタートしたはずなのに、それがいつか全百巻ということになり、やがてそれも越えていきました。
そのあいだに、私は早川書房を辞めて編集者としてグイン・サーガに関わることはなくなりましたが、その後もずっと書きあがった原稿を読み続けてきました。

いま思うのは、栗本薫は、どこかにか存在している、悠久の歴史をもった世界の伝説を語り伝えていたのではないかということです。
たまたま、グインという存在がルードの森に出現したところから語り始められてはいますが、もっと前から語られてもよかったし、
グインが伝説となっている後の世界が語られてもよかったのかもしれません。
ともかくも、ルードの森から語られた物語は語り手を失ったいま、そこでぷつりと途切れてしまいました。

この世を去るほぼひと月まえの、4月25日に書かれた新装版のあとがきに、栗本薫は自身が手がけたミュージカルの主題歌の一節を引用しています。
「グイン、物語いま、グイン、語りつぐため 人は 歌い出す はるかな時をこえて」
追悼の手紙をお寄せくださった皆様が、グインをいつまでも語りついでくださったら、栗本薫にとってそれがたいへん嬉しいことでしょう。
家には仏壇がありませんが、小さなライティング・デスクに写真と位牌が飾られています。
お寄せいただいた追悼のお手紙をプリントアウトしたものは、そのデスクの上に供えさせていただきました。

皆様、重ねてありがとうございました。

2009年10月3日 今岡清